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でっかい独り言、内緒話に戯言三昧

でっかい独り言、内緒話に戯言三昧

うしろ髪を引かれる想い

 1ヶ月近い滞在ののち、とうとう日本へ帰る日がきた。
毎日がのんびりしつつも忙しく、久しぶりの姉との生活は楽しかった。
なにより意外とリラックスできた。
日本での日常が、意識していないところで常に緊張していたことを思い知らされた。
小さい頃からバラバラに生活していた姉妹なので、何かを相談したこともないし、
お互いに何かを話すと言うこともなかった。
だから帰国前夜、勇気をふりしぼって、やっとこれだけ聞いたのだ。
「私は役にたったの?」たったこの一言を言うのに何時間かかったか(^^;) 
帰ってきた答えは「赤ん坊のことを気にせずに仕事に行けたからね」…
まさかこんな言葉が返ってくるとは…姉からの最大の賛辞と受け取った

 翌日、朝早いフライトだったので姉だけ空港まで送ってくれ、
カウンターまできてくれた。
別れ際、お嬢をしっかりと抱きしめて
「ハハの言うことをよく聞いて、気をつけて日本まで帰るんだよ。またきてね」と
姉は言った。
私は姉の顔がまともに見られなかった。
声をかけることもできなかった。私にとって姉は唯一無二の人だ。
だがそれはあくまでも私だけの気持ちであって、姉が私のことをどう思っているか、
全く分からない。
次、いつ会えるのだろう。
姉が日本に来ることはありえないだろう。
それはこの滞在でよくわかった。気の遠くなるほどの距離。
私にしても気楽に来られる場所ではない。
「じゃぁね、仕事あるんだから、早く行きなよ」そう言うのが精いっぱいだった。

飛行機に乗り込み、シートについた私は涙が止まらなかった。
ただただ、悲しかった。私の生きる場所に、
また1人で乗り込まねばならないのだ。
なまじ姉と生活してしまったせいで、孤独を思い知らされた。
お嬢が横で不安げな顔をしていたのは分かっていた。
でも国内線の3時間ほど、私は泣き続けるしかできなかった。
ようやくふっきれたのは、国際線が離陸してからだ。
姉がアメリカで生きることを選んだように、私も日本で生きることを選んだのだから。

 長い長いフライトのあと、長い長い手続きで疲れ果てたところに、
「んなろ!」と思う事件がぼっ発。
預けていた荷物を受け取ろうとした時のこと、
成田のカートには子供を乗せるところがないために、
カートの横にお嬢を立たせていた。
荷物を取る為に、皆が必死になっていたので、あぶないなとは思っていた。
しかしまさか小さな子供に全く注意を払わないとは思わなかったのだ。
アメリカ滞在時に子連れで優遇されたことに慣れていたかもしれない。
なんど大きいスーツケースがお嬢にあたりそうになっただろう。
そして思い知る。私は怒りを生きるパワーに変える人だ。

 やっとでてくると、だんなの姿が…「ちちーーー!」と叫んで飛びつくお嬢。
微笑ましい姿であると同時に、私はここで生きていくのだと思い知る。
どんなに孤独に襲われても、リラックスできる場所がないとしても、
私はここで生きて行くのだ。
それが私の選んだ道であり、私の宿命だ。


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